不正調査について

不正調査と内部調査の違い

49-83374内部監査は、年間計画などのあらかじめ定められた計画に従って、コンプライアンスや業務の効率性、内部統制の有効性全般についてチェックするプロセスです。
これに対して、不正調査とは、ある具体的な不正の疑いに基づいて、疑われる不正が現実に存在したのか、その場合には誰によって行われたのかを調査するための手続きです。

不正調査では客観的な証拠を集める
一般的な監査と不正調査との決定的な違いは、不正調査の場合、結果として不正を行った役職員に対して、懲戒処分などの社内処分はもちろんのこと、場合によっては、刑事告訴や民事上の損害賠償請求訴訟を提起するなどの法的措置をとる可能性があるということです。

以前は、大企業ほど世間体を気にして、社内の不正を公にすることを嫌い、不正を行った人をこっそり懲戒解雇処分にするだけで、刑事告訴や損害賠償請求訴訟を提起するといった措置に出ることは、多くはなかったのですが、最近ではコンプライアンス意識の高まりによって、法令違反などの不正には厳正に対処するという姿勢を示す意味で、断固とした法的措置をとる企業が増えています。
法的措置をとるにあたっては、なによりも捜査機関(警察・検察)や裁判所といった第三者をうなずかせるに足りる客観的な証拠を集めることが必要になります。

裁判所に提出する証拠集めということになると、弁護士、危機管理会社などの専門家のアドバイスも併せて必要でしょう。
そのため、不正調査を行う場合には、ごく早い段階から、顧問弁護士などと相談しながら進めていくことも重要です。

内部通報の取り扱い方法

不正調査の端緒となる不正疑惑は様々なルートからもたらされます。
担当者の交代によって、内部監査のプロセスで、内部通報が行われる事も珍しくありません。
不正調査を任された担当者としては、この段階では、まだ、不正の疑いであって、必ずしも不正が事実かどうか判断するべきではありません。

特に内部通報によるものは、同僚や上司に対する嫌がらせや誹謗・中傷であったり、単なる勘違いであったりすることも少なくありません。
そこで、まず経理部の協力を得て、財務諸表や会計帳簿に基づいて財務分析を行ったり、システム管理部の協力を得て、ネットワーク・システムへのアクセス・ログをチェックするなど、不正を行っている疑いのある人が、所属している部署とは関係のない部署から入手できる資料などに基づいて、「不正の疑いが不正に行われた事実を確認する」といった視点で調査を実施することが重要です。

証拠集めは外堀を埋める
実際に不正が行われていると判断した場合、不正の拡散を予測する必要が有ります。
特に、管理責任者が関与している可能性がある場合や取引先など社外の者との共謀が疑われる場合には、不正の存在がある程度明白になるまでは、通常の内部監査を利用して証拠集めを隠密調査で実施していきます。
戦国武将が敵の城の外堀から埋めていったように、証拠集めも周囲から、着実に収集します。

不正調査対象周囲の人から事情を聴く
不正の張本人から事情を聴く前に、書類の調査、会計記録の調査によって客観的な証拠集めに努めます。
客観証拠がある程度集まった段階で、不正の張本人の周囲の人から事情を聴いていきます。
人から事情を聴いた場合、必ずその内容を書面に記録し、話をしてくれた人に、書面内容に間違いがないことを確認したうえで、署名をもらっておきます。

無理に自白を引き出さない
不正の張本人への面接では無理に自白を引き出そうとしてはいけません。
最初に弁解を聞いた上で、これまで収集した証拠を示しながら、こちらがこれまで解明した不正の実態を説明し、「これは言い逃れが出来ない」というムードを醸し出すことが大切です。不正を行った人は、「本当にバレているのか」「巧妙にやったのだから、バレてはいない」などと疑心暗鬼な状態で面接に臨んでいますので、その人に、「会社は事実を解明し、証拠は全て揃っている」と認識させない限り、なかなか自白を引き出すことはできないものです。
例え、表向きに不正の事実を認めたとしても、動機、手段、不正回数、着服金額などについては、真実を話さない場合もあるということも覚えておくことも重要です。自白をとったら、内容を書面にして、署名をさせることも忘れてはいけません。

ページトップへ戻る